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執筆者の写真伊藤芳博

山崎るり子『地球の上でめだまやき』

 待ちに待った山崎るり子さんの詩集が出た。小さい書房刊。旧作もうまく配置しての新詩集だ(なかなかこういう詩集はない)。『雲売りがきたよっ』(思潮社)から8年振りの新作だ(この詩集は本当にいい。詩の物語を書ける詩人はめったにいない)。今回の詩集は、家庭の(母親の)視線からの優しい言葉が現実を刺すと、「かくれていたものが/とろおりと流れ出」し、知らないうちに別の世界へ連れ出される。

 小春日和のひるさがり

 おばあさんは

 固いものを

 やわらかくする仕事を

 している


 まさに山崎さんの詩は、そんな仕事だ。

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